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「狼は帰らず」佐瀬稔

今日は佐瀬稔さんの狼は帰らず、をご紹介いたします。

この本は小説やマンガでも有名な神々のいただきで、主人公、羽生丈二のモデルとなったアルペニスト、森田勝の伝記本です。

この本からは人生の優先順位の大切さと、運が離れていく生き方について学べます。

それでは、本の説明に入ります。

森田は山登りを愛する山バカです。

山を登る技術、体力、また金型職人としての腕は一流ですが、人の気持ちを推測する能力に関しては、病的に欠けていました。

森田といえば、谷川岳、一の倉沢、滝沢第三スラブ、通称三スラの登攀が伝説となっていますが、この登攀を成功させた後、酒の入った森田は一緒に登ったパートナーの岩沢にこのような失言をしています。

俺は登ったぞ。きつかったけれど、終わってみれば俺1人で登ったようなもんだ。いや俺が三スラを登ったんだ。岩沢がいなくたって、きっと登っていたぞ

これには流石に岩沢も許せず、翌日こう言い返しました。

昨日はいいすぎやしなかったか、あんた1人で登れたと言うなら、今からもう一度やり直してみようじゃないか、俺が1人で登って見せるから、ついてこい

この件で、岩沢は森田から距離を置きはじめましたが、決定的となったのは次のエピソードでした。

三スラの後に、2人が山行の計画をしていた時、森田はプレス工場の作業で指を潰し、予定していた山行が中止になりました。その時、岩沢の

もしも俺が怪我をして、山に行く計画がダメになったのだとしたら、森田さんは僕を恨むかね?

との問いに

恨むさ。もちろんだとも。俺は一生恨み続ける。

と森田は答えました。

これを聞いて岩沢は

ああ、この人はダメだ、

と森田と縁を切る決定打となりました。

こうしたエピソードは他にもあります。

ある時は山登りの大先輩の過去の業績にたいし

あんなの三スラに比べればちょろいじゃないですか

と失言し、殴られました。

全く持って、相手の心情をおもんばかる能力に欠けています。

そんな森田ですが、意外な面も見せています。

その性格から、多くのパートナーに距離を置かれた森田が、とうとう見つけたパートナー、木村とアイガー北壁に挑戦した時のことです。

頂上まであと300メートルのところで、木村は滑落し、足首を骨折してしまいました。

その時、森田は取り乱し、おいおいと泣きながら

木村よ、もしお前がダメになるようなら、
俺も一緒に死ぬ。

いいな、俺はお前と一緒に死ぬぞ。あと少しだ。

俺が担ぎ上げてやる。もしそれができないなら、みんな揃って、上に上がってくれ、俺だけ残って木村を
最後まで守ってやる。

と言ったそうです。

自分の山登りのことしか考えられない身勝手さも、パートナーのために泣きじゃくる情の深さも、どちらも森田の本当の姿なのでしょう。

晩年、森田は自らの衰えを感じながらも、若く有能なクライマー長谷川へのライバル心を糧に、妻と子の家族を日本に残し、グランドジョラスに挑戦します。

結果は失敗に終わりましたが、滑落後、右半身と歯だけで半日かけて、落下点から25メートル登ったことは神々のいただきでは最もドラマチックなシーンとして、描写されています。

その後、再度グランドジョラスに挑戦したのが、森田の最後の山行となりました。

森田は山行の度に会社を辞め、その性格から多くのパートナーや関係者から距離を置かれ、家族を生涯かけて守ることもできませんでした。

彼の人生のベースには幼いころ亡くした母や、貧困、学歴コンプレックスなどの劣等感があります。そうした劣等感により会社では年下上司の命令に怒り、海外遠征に行ける財力があるなど、自分より恵まれたもの達を愚痴り、ねたみました。

森田の生き方は、怒る、愚痴る、妬むの三毒を全て持ち、自ら人や運を遠ざける、成功から離れていく反面教師のようにもみえます。

しかし、そんな彼の生き方から学べることがあるとすれば、彼は人生の優先順位を山登りにおき、生涯その優先順位を守り通した、という点ではないでしょうか。

グランドジヨラスを登りきれなかったことは、さぞ無念でしたでしょうが、多くの優先順位の高い目標をもち、日々それらの調整を迫られる人生を選んだ自分を含む多くの人々には、たった一つの目的、山登りに純粋に命をかけた森田の生き様は眩しく、羨ましくもみえます。

森田はある時、

われわれはこのように生きている間に、何かをしたいと思わないか、何かを残して死にたいじゃないか

と話しています。

森田の山登りの実績は長谷川には及びませんでしたが、彼の山登りに対する強烈な思いは、彼の死後も人々の共感を呼び、小説となり、漫画となり、多くの人々に影響を与えました。

彼はその強烈な人生を持って、彼の生き様を後世に残したのでした。

以上、佐瀬稔さんの狼は帰らずでした。

今回紹介しきれないような多くのエピソードもこの本には載っていますので、ぜひお読みください。

このブログではサラリーマンなどの忙しい人が、短い時間で良い本に触れ、そこから何かを学べることを目的とした動画を作っています。

ABOUT ME
7才の息子と3才の娘のパパです。子供の才能を伸ばすためには自分自身が勉強しないといけないなーと思い、色々とチャレンジしたり、読書したりして勉強しています。子育てや勉強を通じての学びをブログで共有したいな〜と思っています。😊